まいにち、まちこち

〜メキシコシティ便り

メキシコの歴史と国歌

メキシコに来る際、壮行の品ということで頂いた大垣貴志郎著『物語 メキシコの歴史ー太陽の国の英傑たち』(中公新書)がとても面白いです。

メキシコシティには、歴史上の人物の名前を冠した地区や通りがわんさかあるのですが、この本を読んでると、あ!聞いたことある名前!というのが多くて、しばらく読み耽っています。

 

その中の米墨戦争のくだりで、メキシコ国歌に関する記述がありました。

メキシコ国歌については、先日のボクシング観戦時に初めて耳にし、随分勇ましくて格好いい国歌だなぁと記憶に残っていたので、特に目が留まりました。

W杯等サッカーの試合でも流れているので、日本でも割と知っている人は知っているみたいですが、どんな曲かはリンク先の動画を参照してください。

メキシコ国歌と歴史 歌詞・日本語訳

 

歌詞は長く、全部で10番まであり、その内容はざっくり言うと、メキシコ人よ勇ましく戦えというもの。

先ほど紹介した本にも指摘がありましたが、Guerra(戦争)Guerrero(戦士)Torrente(血流)といった、巻き舌で発音する「rr」の音が繰り返し出てきて、非常に歯切れの良い軍歌調の曲です。

1854年に初演されたこの曲は、歌詞が公募により選定されており、詩人フランシスコ・ゴンサレス・ボカネグラの作品に、軍楽隊指揮者だったスペイン人ハイメ・ヌノが曲をつけたもの。

歌詞が公募によって選定されたということは、そこには当時の国民感情が反映されているということでしょうね。

 

曲ができた1854年という年は、米墨戦争の敗北後1848年のグアダルーペ・イダルゴ条約締結により自国領土の半分近くを喪失し、さらに1853年にラ・メシージャ条約締結により国境地帯メシージャ地域をアメリカに700万ペソで売却することを決定した翌年にあたります。

 

戦争での敗北後、国土の半分を奪われたメキシコ国民の喪失感は想像に難くありません。

きっと、国民はこのリズミカルで勇ましい国歌に、失われた自信を鼓舞する想いをこめて歌っていたんだろうなぁ。

 

リズミカルな曲なのでかなり難しいですが、一生懸命練習して、せっかくだから歌えるようになりたいものです。